16. 細胞遊走におけるIAPとカスパーゼの役割
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殿城亜矢子, 三浦正幸
キーワード
細胞遊走, border cell, IAP1, カスパーゼ
上皮細胞の遊走は、発生過程や炎症、がんの転位など様々な状況で見られる現象
細胞遊走の最も単純でかつ遺伝学的に扱いやすいモデルとして、ショウジョウバエの卵巣におけるborder cellの遊走が挙げられる
卵の発生過程において、卵前極に位置する卵胞細胞の一部(border cell)が後方へと遊走する現象が見られる
これまでに、細胞骨格の再構築制御を担うGTPaseであるRac(Rhoファミリー)が細胞遊走には重要であり、Racの機能を抑制すると細胞が遊走されなくなることが知られている
Geisbrechtらは、ショウジョウバエを用いた遺伝学的スクリーニングにより、ショウジョウバエ細胞死抑制因子であるIAP1(DIAP1)の過剰発現がRac機能抑制によるborder cell遊走の欠如を回復させることを明らかにした
これまでにDIAP1はショウジョウバエカスパーゼであるDroncの活性を抑えることによって細胞死を抑制することが知られていた
border cellにおいて、DAIP1の過剰発現と同様にDroncドミナントネガティブの過剰発現によっても、Rac機能抑制によるborder cell遊走の欠如が見られた
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このことより、Droncが細胞遊走を負に制御することが明らかとなり、カスパーゼが細胞死誘導とは別に、細胞遊走を制御する役割を果たすことが示唆された